創造(デザイン)の源は想像力
バリで実感したこと
先日、ショップデザインの仕事でバリ島に出張しました。
夕方、バリのデンパサール空港に到着し、夕方といってもまだ明るい光が残っているなか車で街中をぬけ、海が望める小高い崖の上にあるホテルに向いました。
ホテルに着いた時にはすっかり日も海に沈み、あたりは一瞬のうちに夜の暗闇へと様子を変えていました。
闇に溶け込んだエントランスでは、点在する炎の光と、静かなガムランの音楽だけが New Comer を出迎えてくれます。
やがて部屋に案内され、扉を開けて室内に入った瞬間、不思議な感覚に捕われました。
『神秘的な浮遊感』とでもいうのでしょうか。
この感覚はどこから来るのだろう・・・
次の瞬間じっと部屋を見渡してみました。
・・・そうだ。天井にも壁にも照明がない。
あるのはフロアやテーブルの上に置かれたランプだけ。
その秘そやかなほの暗さは、私をなんとも言えない心おちつく感覚に包んでいました。
ものの気配が漂い、粒子がにじんでいるかのような空間が人のテンションを穏やかにします。
それは都会で白く眩しい光のなかで生活している私には、異質な、しかし、なぜか懐かしい感覚でした。
東京ではほとんどの家庭が、夜でも明るい蛍光灯の光で囲まれています。
(高度成長期には、豊かさの象徴であったのですから)
現在住宅のインテリアデザインの仕事をしていても、照明が暗いとクライアントにまず指摘される項目です。
ましてや商業施設では、明るさを競い合い、どんどんエスカレートしつつ世界でも類を見ない、昼も夜も24時間白く輝く街になっています。
疲れるわけですね。
眠るまでテンションがかかっているのですから。
光が、人間の心と身体にこれほどまでにストレートに深い影響を与えるものなのだということを、バリという違う環境のなかで実感してみて、頭ではわかっていても、皮膚感覚として捉えることの難しさを知りました。
私が最も感動したビーター・ズントーのスイス『ヴァルスの温泉施設』では、光と素材と音と皮膚感覚が大きなテーマで、そこを訪れて療養する人たちの心におおいなる影響を与えています。
バリを通して、デザインの奥深さを実感した数日間でした。